研究開発

技術開発テーマ

一般社団法人LVL協会では、単板積層材(LVL)の建築分野での普及の促進のために研究開発を行っています。

【1】材料:LVLの用途開発と生産効率を追求する

構造用LVLは、今までは軸材としての使用が主な用途でした。しかし、LVLはその製法上、薄い部材も得意としています。平成25年には、直交層を入れて寸法安定性を高めた、面材として構造部材で使える構造用B種LVLが規定され、基準強度が規定されました。次のステージとしては、LVLの生産効率を追求して、お客様により安価な材料を提案するために会員会社が結集、単板からLVLの強度を予測するシミュレーション方法を検討し、令和2年度のJAS改正に反映される予定です。近年、木造建築物の非住宅化がすすみ、高強度壁や鉄骨造、RC造とのハイブリッド構造が求められています。その中で必要とされるLVLの面内せん断性能の検討をすすめています。LVLを屋外部材として意匠的に使用、または使用を検討されるケースも出てきています。ここ数年間かけて、LVLを外部あらわし(現し)とした場合の強度性状の変化、塗料の耐久性などの検証を行っています。

※あらわし(現し)とは、柱や梁などの構造材が見える状態で仕上げる手法のことです。

●関係委員会 JAS改正委員会、構造利用委員会 材料保存委員会

【2】意匠:LVLに特徴的な積層面を提案する

木材はその特徴の一つである温かみを持つことから、あらわしで使用される場合が多いです。その中でもLVLは単板積層材に特有な板目面と積層面を併せ持ち、木質部材では他には無いバウムクーヘンのような表情を積極的にあわらしとする設計が増えてきました。全国LVL協会ではその特徴を設計者が積極的に使えるように構造部材・耐火構造・防火材料の開発を行っています。また、LVLの厚板壁柱、木層ウォールは孔を開けることにより、光を透す等、様々な付加価値を与えることができるようになりました。

●関係委員会 防耐火委員会

【3】構造:非住宅を設計できる構造部材の提案

寸法安定性に優れ、高強度な軸組部材として住宅の近年の非住宅の木造化により、合せ梁・ストレストスキンパネル等、長スパンを飛ばすことのできる梁・床・屋根部材の開発を行ってきました。倉庫・商業施設等の木造化のニーズに伴い、令和元年度には、現場で接合して20Mを飛ばすことのできるLVL合せ梁の接合方法を開発しました。
マッシブな厚板壁柱および高耐震壁としての木層ウォールの開発を行い、数々の物件に採用されてきました。平成27年度の告示改正で、柱・梁に加えて壁も燃え代設計できるようになり、見せる木造の設計の自由度がさらに上がりました。
材料の項目で挙げた新しい面材料(B種LVL)に関しては、ボルト・ピン接合性能の検証を行い、構造設計するためのデータを揃えています。耐震壁として使うために必須な、面内せん断性能も継続してデータを収集しています。

●●関係委員会 構造利用委員会、防耐火委員会

【4】防耐火:非住宅や都市でも使用できる耐火部材・防火材料の提案

都市部での建築、また中大規模の建築では、耐火構造や準耐火構造が求められます。LVL協会では耐火構造に対応するために、LVLの梁とした1時間耐火床構造の大臣認定を取得いたしました。その後平成26年に石膏ボード被覆の耐火構造が告示化されるに伴い、LVLを用いた耐火木造が設計しやすくなり、事務所や老人ホーム等への構造用LVLの採用が期待されています。
建築研究所と共同して行った厚板LVLの燃焼試験の成果が告示に反映され、柱・梁・壁柱としてLVLが準耐火構造で燃え代設計であらわしで使えるようになりました。
また、意匠の項目で触れた積層面の内装材がどの部位でも使えるように、積層面のLVLの準不燃材料の大臣認定を平成27年に取得いたしました。
会員会社に生産認定を与え、内装制限のある都市部の商業施設・事務所等での採用実績が出始めています。

●関係委員会 防耐火委員会

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